「寺社建築専門集団」中島工務店は自らをそう自負しています。
寺社建築には独特の構造、工法と様式美があります。その堅牢精緻な美しさを実現するには、歴史ある寺社建築ならではの決まりごとや技術への深い知見が欠かせません。中島工務店は創業以来、飛騨地方に伝わる木材加工技術の追求・継承に邁進し、寺社建築専門集団として研鑽を続けてきました。

中島工務店の本拠地がある岐阜県中津川市加子母は、日本三大美林のひとつ木曽ヒノキ備林を有する古くからの林産地。伊勢神宮をはじめ明治神宮、法隆寺金堂、名古屋城、姫路城、皇居など日本を代表する建造物の用材として木曽の檜が使われており、日本の伝統建築の歴史においても重要な役割を果たしてきました。この地で長い年月をかけて培われてきた木材加工の技術は「飛騨の匠」として知られていますが、それは加子母の森林と共に育まれてきた技術でもあります。

加子母で創業し、今も加子母に本拠地を置く中島工務店は、その成り立ちそのものが木材産業と共にあります。木を知り、研鑽を積んだ職人の技術を継承することから、中島工務店の寺社建築は始まりました。以来多数の寺社建築を手掛けながら知識を深め、技術を磨いてきた私たちは自信を持って「寺社建築専門集団」を名乗ります。そして「飛騨の匠」の名に恥じない仕事を後世に残すべく、日々努力を続けています。

江戸時代、加子母・付知・川上という現在の中津川市北部の三地域は尾張徳川藩の直轄地で、裏木曽三ケ村と呼ばれていました。豊かな森林資源は時の権力者らによって保護され、寛文年間（1661～1672年）には「檜一本首一つ（檜を一本盗んだだけで首が飛ぶ）」と言われるほど厳しい山林規制が行われました。明治時代に入ると皇室の御料林として伊勢神宮の式年遷宮御用材を伐り出す神宮備林になり、さらに太平洋戦争後は国有林として文化財の修復などに優良材を供給する森林として、また学術研究に寄与するための森林として現在に至っています。

豊富な森林資源に恵まれた加子母では、木を伐り出し、加工する優れた技術が培われました。それは現在にも受け継がれ、人口わずか3,000人足らずの小さな地域にもかかわらず全世帯の8割が山林を所有し、木材産業は今も地域の主要産業です。

長・大径木や曲がり材が必要とされる寺社建築では、担当者が原寸の型紙を地元の製材所に持ち込んで木の選別から立会い、木材の特徴を最大限引き出すための品質管理をしています。これも、地域に木をよく知る製材所が多数ある加子母ならではの強みだと言えるでしょう。

中島工務店は、千年以上かけて培われてきた伝統技術と現代の技術の融合を図っています。そのためにこだわるのが自社設計・自社工場・自社大工。設計から加工、建築まで自社一貫生産体制とすることにより、細部まで精度の高い施工を実現しています。また、伝統技術と文化の継承のため、古式に則った式典や一般のお客様への現場公開にも取り組んでいます。

①自社設計

寺社建築は使う部材が大きく、形状や構造も一般住宅では見られない複雑なものです。それらを現代の建築基準に適合させながら、伝統建築の利点を活かして見ためも強度も優れた建物にまとめていくのが設計の役割です。

伝統建築の知識はもちろん重要で、ひとつひとつの部材がどんな意味を持ってどのように使われているのかを正しく知らなくてはいけません。その上で、現代の技術を活かして耐震性や耐風性などを正確に分析、CADを用いて精度の高い設計を行います。3D化にも力を入れており、お施主様の意向をわかりやすく反映。現場監督、大工など関係者の理解を深めつつ、細部にわたるまで設計士が目を配るしくみがあります。

②自社工場

中島工務店は、木材の加工を自社工場で自社大工・専属大工が行っています。下請けに頼らない自社大工、自社工場での施工が伝統技術の継承と研鑽に寄与すると考えるからです。

寺社工場は、自社大工・専属大工の作業場。大工暦数十年のベテランから新卒の若手まで様々な年代の大工がそれぞれの仕事に従事しつつ、新しい技術を学びながら、ひとつひとつの部材を丁寧に加工しています。寺社工場の二階には原寸図を書く原寸場もあり、宮大工の醍醐味であり一人前になるための関門でもある原寸図に取り組んでいます。

③自社大工

伝統技術の継承のため、大工の育成にも力を入れています。毎年、全国各地の高校、専門学校、大学から新規学卒者を採用。ベテラン大工の指導の下、日々知識と技術の習得に励んでいます。

自社大工の育成もまた、伝統技術の継承と精度の高い施工に欠かせないと考えるから。必要な技術を備えた大工が統一された意思のもとに連携してこそ、より優れた寺社建築が実現します。そのひとつの方法が自社大工で、先輩から後輩へ知識と経験が継承されることにより、全体の技能向上も図っています。

④式典・現場公開～伝統技術と文化の継承のために

神社・寺院などの各施工現場では、古式に則った式典や一般のお客様への現場公開なども行っています。

地鎮式、上棟式など建築に際しては古くから行われてきた様々な儀式があります。住宅や商業施設などの建築では現代流に簡素化された様式で執り行われることが多いですが、私たちは伝統技術と文化の継承のため、伝統的な装束を身にまとい古来のしきたりに従って執り行います。

工事中には各現場を一般のお客様に公開する機会も設けています。建築について見学・説明させていただくのはもちろん、かんながけや彫刻など職人の技を体験するコーナーも設けて、お子様から大人まで伝統建築の技に親しんでいただいています。

これまでの施工実績は全国各地で200件以上。その多くで増改築や付帯設備工事、改修工事などリピート受注をいただいています。

リピート受注は信頼の証。全国各地、神社並びに様々な宗派の寺院の工事を承っています。具体的な施工実績は下記をご覧ください。